SNSの利用者数が世界有数といわれるインドネシア。若者たちの間では、独自の略語やスラングが次々と生まれています。代表的な言葉をいくつか見ていきましょう。
気になって仕方ない、「クポ」
| 表現 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| kepo | クポ | 詮索好き・やたら気になる(中国語系のホッキエン語「kepo」が語源とされる) |
他人のSNSを覗き見たり、根掘り葉掘り聞きたがったりする様子を指す「kepo(クポ)」。「英語knowing every particular objectの略」という説がSNS上でよく語られますが、これは言葉が広まったあとに作られた俗説で、実際にはホッキエン語(中国語の方言のひとつ)で「詮索好き」を意味する言葉が由来とされています。「Jangan kepo!(詮索しないで!)」のように、友人同士の軽いツッコミとしてもよく使われます。
感情的になりすぎる、「バペル」
| 表現 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| baper | バペル | 感情移入しすぎる・気にしすぎる(bawa perasaanの略) |
「bawa(持つ)+perasaan(感情)」を略した「baper(バペル)」は、ちょっとしたことに感情移入しすぎてしまう状態を表すスラング。恋愛ドラマや友人とのやり取りで頻繁に登場する、若者言葉の定番です。
「ガウル」という言葉自体がスラング
こうした若者言葉は総称して「バハサ・ガウル(gaulは「社交的な・仲間内の」という意味)」と呼ばれます。もともとはジャカルタの都市部の若者の間で生まれた言葉遣いでしたが、テレビやSNSの普及によって全国の若者に広まりました。標準的なインドネシア語の文法を保ちながら、単語だけを短縮したり英語を混ぜたりする柔軟さが特徴で、次々と新しい言葉が生まれては消えていく、生きた言語のダイナミズムを感じられる文化です。
略語が生まれ続けるSNSカルチャー
「japri(ジャプリ)=jalur pribadi(個人的な連絡・DM)」のように、日常語を組み合わせた略語がSNS上で次々と生まれるのもインドネシアらしい特徴。こうした言葉は教科書には載っていませんが、知っておくと現地の若者との会話がぐっと弾みます。
アジコトのレッスンでは、まずは基本的な会話フレーズから紹介しています。
動くのが面倒、「mager」という言葉
| 表現 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| mager | マグル | 動くのが面倒・だるい(malas gerakの略) |
「malas(面倒くさがりの)+gerak(動く)」を略した「mager(マグル)」は、家から出るのも動くのも面倒、というだらけた気分を表すスラング。「Aku lagi mager(今日はマグル気分)」のように、休日の気分を伝えるカジュアルな一言として、SNSの投稿でもよく見かける表現です。
やることがない、「gabut」
| 表現 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| gabut | ガブッ | 暇すぎてやることがない(gaji buta「見えない給料」が語源ともいわれる) |
「Hari ini gabut banget, gak ada kerjaan(今日は本当に暇で、やることがないよ)」のように使われる「gabut(ガブッ)」も、SNSでよく見かける若者言葉。何もすることがなく手持ち無沙汰な状態を表し、「mager」が「動くのが面倒」という気だるさを表すのに対し、「gabut」は「暇でむしろ何かしたいのにやることがない」という、少しニュアンスの違う退屈さを表します。
心をいたわる、「healing」という英語由来の言葉
近年、インドネシアの若者言葉として定着したのが、英語由来の「healing(ヒーリング)」。旅行に出かけたり、好きなことに没頭したりして、日常のストレスから心を回復させる時間を指す言葉として使われています。「Aku butuh healing(私にはヒーリングが必要)」のように、忙しい日々に疲れた気持ちを表現するフレーズとして、SNS上でも頻繁に見かけます。メンタルヘルスへの関心の高まりとともに広まった、比較的新しい言葉のひとつです。
友達を誘う合言葉、「kuy」
| 表現 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| kuy | クイ | 行こう(yuk「〜しよう」を逆さに読んだ言葉) |
「yuk(ユッ)=〜しよう」という誘いの言葉を逆さに読んだ「kuy(クイ)」は、友達を気軽に誘うときの定番の合言葉。「Makan kuy!(ご飯行こう!)」のように使われ、言葉を逆さにするというユニークな作り方自体が、いかにも若者言葉らしい遊び心を感じさせます。
罵倒語から生まれた、驚きの感嘆詞「anjay」
インドネシア語のスラングの中でもとりわけ独特な成り立ちを持つのが「anjay(アンジャイ)」です。もともとは「anjing(犬)」という強い罵倒語がルーツですが、若者の間で音を変化させてマイルド化し、「やばい」「すごい」といった軽い驚きを表す感嘆詞として定着しました。「Baru gajian? Anjay!(給料出たの? やば!)」のように、SNSやTikTokの動画でも定番の相づちとして使われています。ただし語源が罵倒語であることに変わりはないため、目上の人やフォーマルな場では使わないのがマナー。友人同士のカジュアルな会話に限定して使うのが安全です。
SNSでよく見る、辛口コメントを表す「julid」
| 表現 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| julid | ジュリッ | 他人のことに口出しする・辛辣な陰口を言う |
SNSのコメント欄でよく見かけるスラングが「julid(ジュリッ)」。スンダ語の「bin julid(嫉妬深い・意地悪な人)」に由来するとされ、他人の投稿に余計な一言や皮肉めいたコメントを付ける様子を指します。「Jangan julid dong!(意地悪言わないでよ!)」のように、SNS上のちょっとした言い争いから、有名人のゴシップを語る文脈まで幅広く使われる言葉で、「kepo(詮索好き)」と組み合わせて「kepo dan julid(詮索してはケチをつける)」と評されることもあります。SNS発のスラングらしく、良くも悪くも今のインドネシアのネット文化を映し出す一語です。
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よくある質問
Q. こうしたスラングは目上の人にも使って大丈夫ですか?
基本的には友人同士のカジュアルな会話向けの言葉です。目上の人には標準的な言い方を使うのが無難です。
Q. バハサ・ガウルは教科書のインドネシア語とどのくらい違いますか?
文法自体は大きく変わりませんが、単語が略されたり短縮されたりする点が特徴です。基礎を学んだあとに触れると理解しやすくなります。
Q. 「ガウル」という言葉自体の意味は何ですか?
「社交的な」「仲間内の」というニュアンスの言葉です。「バハサ・ガウル」全体で「仲間内の言葉遣い」を意味します。
Q. 他にもよく使われるSNSスラングはありますか?
「mager(マグル)=malas gerak(動くのが面倒)」のように、複数の単語を組み合わせて短縮する言葉が次々と生まれています。
Q. 「gabut」と「mager」はどう使い分ければいいですか?
「mager」は動くこと自体が面倒という気だるさ、「gabut」は暇で手持ち無沙汰という退屈さを表します。似ていますが、ニュアンスの違いを意識すると、より自然に使い分けられます。
Q. 「anjay」は誰にでも使っていい言葉ですか?
友人同士のカジュアルな会話に限定するのが安全です。語源が罵倒語であるため、目上の人やフォーマルな場では避けるべき表現とされています。
Q. 「julid」はどんな場面で使われますか?
SNSで他人の投稿に辛口なコメントをする人や行為を指すときによく使われます。友人同士の軽いツッコミから、ネット上の言い争いまで幅広い場面で登場します。