日本語の「すみません」は、人を呼び止めるときにも、謝るときにも使える便利な言葉です。韓国語・ベトナム語・タイ語・インドネシア語では、この一言がどう表現されるのでしょうか。4言語を比較しながら、それぞれの言葉が持つニュアンスの違いと、もう一段丁寧に謝りたいときの言い方まで詳しく見ていきます。

4言語で比較

言語 表現 読み方 ポイント
韓国語 실례합니다 シルレハムニダ 실례합니다(シルレハムニダ)=失礼します
ベトナム語 Xin lỗi シン ローイ Xin lỗi(シンローイ)=すみません
タイ語 ขอโทษค่ะ コートート カ ขอโทษ(コートート)=すみません
インドネシア語 Permisi プルミシ Permisi(プルミシ)=失礼します

気づき:「呼びかけ」と「謝罪」を1語でカバーする万能フレーズ

4言語とも、この一言だけで「呼びかけ」と「軽い謝罪」の両方をカバーできる万能フレーズです。タイ語(ขอโทษ)とベトナム語(Xin lỗi)は日本語の「すみません」に近い1語で完結し、韓国語(실례합니다)とインドネシア語(Permisi)は「失礼します」に近いニュアンスを持っています。人混みをかき分けるとき、店員さんを呼ぶとき、うっかり肩がぶつかったとき——どの場面でもまず口にすれば間違いのない一言です。

韓国語「실례합니다」:よりカジュアルな呼びかけもある

「실례(失礼)+합니다(します)」という組み立てで、漢字語の「失礼」がそのまま韓国語になった言葉です。やや改まった言い方のため、お店の店員さんを呼ぶときなどは、実は「저기요(チョギヨ=あの、すみません)」の方がよく使われます。「저기(あそこ)」に呼びかけの語尾が付いた形で、直訳すると「あちらの方」に近いニュアンスです。場面に応じてこの2つを使い分けられると、より自然な韓国語に近づきます。旅行者としてはまず「실례합니다」を覚えておけば、どんな場面でも失礼にはなりません。

ベトナム語「Xin lỗi」:謝罪にも呼びかけにも

「Xin(どうぞ・謹んで)+lỗi(過ち・失礼)」という組み立てです。日本語の「すみません」と同じく、謝罪と呼びかけの両方に使える万能フレーズとして親しまれています。人混みをかき分けるときにも、レストランで店員さんを呼びたいときにも、この一言で十分です。「Xin」は「どうか」「謹んで」という謙譲のニュアンスを持つ語で、他のお願いの表現(「Xin chào(こんにちは)」など)にも姿を見せる、ベトナム語の丁寧さを支える基本パーツのひとつです。

タイ語「ขอโทษค่ะ」:謝罪にも呼びかけにも使える便利な一言

「ขอโทษ(すみません・失礼します)+ค่ะ(ていねいに)」という組み立てです。日本語の「すみません」と同じく、謝罪・呼びかけの両方に使える便利な一言として、旅行者にとってもっとも出番の多いフレーズのひとつです。ぶつかってしまったときも、道を尋ねたいときも、まずこれで大丈夫。「ขอ(お願いします)」と「โทษ(罰・過ち)」が組み合わさった言葉で、直訳すると「私の過ちをお許しください」に近いニュアンスを持っています。

インドネシア語「Permisi」:「Maaf」との使い分けが大事

人混みを通り抜けるときや部屋に入るときは「Permisi(プルミシ=失礼します)」、何か過ちを謝るときは「Maaf(マアフ=ごめんなさい)」を使うのが自然です。似た場面でも、この2つは明確に使い分けられています。「Permisi」はもともと「許可」を意味する言葉に由来し、「通らせてください」「入らせてください」というニュアンスが根底にあります。一方「Maaf」は謝罪そのものを表す言葉なので、明確に謝りたい場面ではこちらを使うのがインドネシア語らしい選び方です。

謝罪の度合いを強めたいとき

軽くぶつかった程度ではなく、はっきり謝りたい場面では、韓国語なら「죄송합니다(チェソンハムニダ=申し訳ありません)」、ベトナム語なら「Xin lỗi」をそのまま使いつつ深く頭を下げる、タイ語なら「ขอโทษ」を繰り返す、インドネシア語なら先ほど紹介した「Maaf」を使うなど、表の一言よりも重い謝罪の言い方も存在します。まずは表の万能フレーズを覚え、必要に応じて謝罪の強さを調整すると考えておくとよいでしょう。

人混みをかき分けるときの一言

市場や電車内など、人混みをかき分けて進みたいときにも、表の一言がそのまま使えます。タイ語の「ขอโทษค่ะ」を軽く言いながら会釈すると、スムーズに道を譲ってもらえることが多いです。ベトナムのバイクが行き交う道を横断するときも、「Xin lỗi」とひとこと添えながら手を挙げると、ドライバーに気づいてもらいやすくなります。呼びかけの一言ひとつで、雑踏の中でも思いやりのあるコミュニケーションが成立するのが、この万能フレーズの魅力です。

4言語に共通する「万能フレーズ」の発想

「すみません」にあたる一言が、謝罪と呼びかけの両方をカバーするという構造は、実は日本語だけの特徴ではなく、アジアの多くの言語に共通する発想です。ひとつの言葉が複数の場面をカバーしてくれるからこそ、旅行者にとっては覚える負担が少なく、真っ先に習得すべきフレーズになります。逆にいえば、この一言さえ押さえておけば、「何と言えばいいか分からない」という場面のほとんどを、とりあえず切り抜けられるということでもあります。単語をたくさん覚えるより先に、まずはこの「万能の一言」を体に染み込ませておくのが、実践的な学習の近道です。

「ここ、座ってもいいですか」:許可を求める一言

言語 表現 読み方 ポイント
韓国語 여기 앉아도 될까요? ヨギ アンジャド トゥェルカヨ 될까요(トゥェルカヨ)=いいですか【文末】
ベトナム語 Tôi ngồi đây được không ạ? トイ ンゴイ ダイ ドゥオック ホン ア được không(ドゥオックホン)=できますか【文末】
タイ語 นั่งตรงนี้ได้ไหมคะ ナン トロンニー ダイマイ カ ได้ไหม(ダイマイ)=〜してもいいですか【文末】
インドネシア語 Boleh saya duduk di sini? ボレ サヤ ドゥドゥッ ディ シニ Boleh(ボレ)=〜してもいいですか【文頭】

混み合った食堂やカフェで相席をお願いするときの一言です。「すみません」の一声をかけたあと、この形を続ければ角が立ちません。インドネシア語だけ文頭のBoleh、韓国語・ベトナム語・タイ語は文末に「〜してもいいですか」にあたる形が来る、この記事で見てきた並びと同じ発想です。

「すみません」を日本語の感覚で使いすぎない方がいい場面もある

日本語の「すみません」は、謝罪でも呼びかけでも感謝でも使える、非常に守備範囲の広い言葉です。ところがこの「なんでもすみません」の感覚を海外でそのまま持ち込むと、思わぬすれ違いが起きることがあります。特によく言われるのがベトナムで、ベトナム語の「Xin lỗi」は基本的に「本当に申し訳ないことをしたとき」に使う言葉。日本人の感覚で軽い場面まで連発すると、相手に「え、何を謝っているの?」と戸惑われてしまうことがあります。人を呼び止めたいだけなら「Xin lỗi」より、まず声のトーンや「Ơi(オーイ=すみません、あの)」のような軽い呼びかけで十分な場面も多いのです。韓国語でも、軽い失礼やちょっとした行き違いは、謝るよりも「괜찮아요(ケンチャナヨ=大丈夫ですよ)」で場を収める場面がよく見られます。表で紹介した一言はどれも旅行者にとって安全な万能フレーズですが、「日本語の『すみません』の頻度をそのまま持ち込む」のではなく、その国なりの謝罪の「濃さ」があることを知っておくと、現地の人との距離がぐっと縮まります。

関連フレーズ

呼びかけの一言と合わせて、「これは何ですか」4言語比較や「道を教えてください」4言語比較もチェックしてみてください。人に声をかけたあとに続く定番の流れです。

よくある質問

Q. お店に入るときにも使えますか?
はい。タイ語の「ขอโทษค่ะ」やインドネシア語の「Permisi」は、お店や人の家に入るときの「失礼します」としても自然に使えます。

Q. うっかりぶつかってしまったときはどう言えばいいですか?
表の一言をそのまま使えば十分です。軽く手を上げるなどのジェスチャーを添えると、より気持ちが伝わりやすくなります。

Q. 韓国語の「실례합니다」と「죄송합니다」はどう違いますか?
「실례합니다」は「失礼します」に近い軽い呼びかけ、「죄송합니다」は「申し訳ありません」というはっきりした謝罪です。人を呼び止めるだけなら前者、明確に謝りたいときは後者を使い分けると自然です。

Q. インドネシア語の「Permisi」と「Maaf」、どちらを先に覚えるべきですか?
旅行者としては、まず呼びかけに使う「Permisi」を覚えておくのが実用的です。明確な謝罪が必要な場面はそれほど多くないため、「Maaf」はあとから追加で覚えても十分間に合います。

Q. 4言語とも「すみません」は男女で言い方が変わりますか?
単語自体は変わりませんが、タイ語だけは文末の丁寧語(女性は「ค่ะ」、男性は「ครับ」)が話し手の性別によって変わります。他の3言語は性別による違いはありません。

Q. 相席をお願いするときも「すみません」から始めればいいですか?
はい。まず「すみません」で相手の注意を引いてから、「ここ、座ってもいいですか」を続けるのが自然な流れです。無言で座ってしまうより、ずっと好印象になります。

Q. ベトナムで「Xin lỗi」を言いすぎると変な印象になりますか?
軽い呼びかけ程度であれば問題ありませんが、些細なことで何度も「本当にすみません」というニュアンスで使うと、相手が戸惑うことがあります。人を呼び止めたいだけの場面では、表で紹介した使い方の範囲にとどめておくのが自然です。