K-POPだけがアジアのポップカルチャーではありません。近年勢いを増す「Vpop(ベトナムのポップス)」も、ベトナム語学習の楽しい入口になります。

世界に届き始めたVpop

ベトナム国内で絶大な人気を誇るアーティストのひとりが「Sơn Tùng M-TP(ソン・トゥン エムティーピー)」。国内外の音楽賞にもノミネートされるなど、Vpopを代表する存在として知られています。YouTubeなどで気軽に聴けるので、旅行前の予習にもぴったりです。

歌詞から覚える、気持ちのことば

表現 読み方 意味
yêu イエウ 愛する・好き
nhớ ニョー 恋しい・思い出す

「yêu(イエウ)」「nhớ(ニョー)」は、ラブソングの歌詞に繰り返し登場する単語。メロディに乗せて口ずさむうちに、自然と発音が身についていきます。好きな曲を見つけたら、歌詞の意味を調べながら聴いてみましょう。

Vpopの多彩なジャンル

Vpopはラブソングだけでなく、伝統楽器を取り入れた楽曲や、ラップ・ヒップホップの要素を融合させた実験的な作品まで、ジャンルの幅が広いのも特徴です。K-POPのようなアイドルグループ形式のアーティストも増えてきており、ダンスパフォーマンスを重視したユニットも人気を集めています。歌詞に地方の言い回しやスラングが織り込まれた楽曲もあり、標準的な教材では出会えない生きた言葉に触れられるのも、Vpopから語学を学ぶ魅力のひとつです。

伝統とポップの融合、ミュージックビデオの世界

近年のVpopミュージックビデオには、伝統衣装「アオザイ」や、ダン・バウ(一弦琴)をはじめとする民族楽器、ベトナムの古い町並みなどを取り入れた作品が数多く見られます。現代的なサウンドと伝統文化を組み合わせる演出は、国内のファンだけでなく海外の視聴者にもベトナムらしさを伝える手段として人気です。曲を聴くだけでなく、映像に映る文化的なモチーフに注目してみるのも、Vpopの楽しみ方のひとつです。

SNSでファンとつながる

ベトナムの若者もSNSでの発信が盛んで、推しのアーティストについて語り合うファン同士のコミュニティも活発です。コメント欄に簡単なベトナム語で応援メッセージを送ってみるのも、実践的な語学練習になります。

アジコトのレッスンでは、感情を表す基本フレーズも紹介しています。

世界を目指す、2つの異なるアプローチ

Vpopのアーティストたちが海外に届く音楽を作るときのアプローチは、大きく2つの方向性に分かれると言われています。ひとつは、Sơn Tùng M-TPのように世界的な音楽トレンドに寄り添い、K-POPや欧米ポップスとも並び称される洗練されたサウンドで勝負するアプローチ。もうひとつは、「Hoàng Thùy Linh(ホアン・トゥイ・リン)」のように、伝統的な民謡や昔話のモチーフをあえて前面に押し出し、ベトナムらしい文化的アイデンティティを武器にするアプローチです。方向性は違えど、どちらもベトナムの音楽を海外に発信していくうえで大切な役割を担っているとされ、聴き比べてみると同じVpopでもまったく違う魅力に気づけます。好みのアーティストを見つけたら、その人がどちらのタイプに近いかを考えながら聴いてみるのもおすすめです。

TikTokから火がつく、今のVpopの広まり方

近年のVpopの人気拡大を語るうえで欠かせないのが、TikTokの存在です。15秒〜1分の短い動画に合わせて使われる楽曲がバズを呼び、そこから正式な音楽配信サービスでの再生数が急増する、という流れが定番になっています。「Hai Phút Hơn(ハイ・フット・ホン)」のように、キャッチーなラップと耳に残るメロディがSNS上で拡散され、国境を越えて聴かれるようになった楽曲も生まれています。ミュージックビデオを最初から最後まで見るのではなく、まずTikTokで断片的に耳にしたフレーズが気になって、後から曲名を調べる——そんな出会い方をする若いファンも増えており、旅行前の予習も、実はTikTokをなんとなく眺めているだけで自然とできてしまうかもしれません。

「Rap Việt」が押し上げた、ラップブーム

Vpopのジャンルの広がりを語るうえでもうひとつ欠かせないのが、ラップ・ヒップホップの人気です。ラッパーの発掘オーディション番組「Rap Việt」の放送をきっかけに、それまでアンダーグラウンドな存在だったベトナムのラップシーンが一気に注目を集めるようになりました。番組出身のラッパーたちがテレビCMや他ジャンルとのコラボレーションに引っ張りだこになるなど、その影響力は音楽シーン全体に及んでいます。クラブミュージック寄りの電子音楽「Vinahouse(ビナハウス)」も、こうしたラップブームと並行して人気を集めているジャンルのひとつで、ベトナムの若者文化を知るうえで押さえておきたい潮流です。

K-POP式トレーニングを取り入れた、Vpopアイドルグループの試み

ソロアーティストの活躍が目立つVpopですが、2010年代前半ごろには韓国式のアイドル養成システムを取り入れたグループも登場しました。プロデューサーのゴー・タイン・ヴァンが手がけたボーイズグループ「365daband」はその代表例で、そろったダンスと洗練されたコンセプトでヒット曲を生み出し、その後ソロで活躍するメンバーも輩出しました。2010年代半ば以降は、こうした「アイドル型」のグループを専門に育成する芸能事務所も現れ、K-POPさながらの練習生制度やミュージックビデオ中心のプロモーション手法がベトナムの音楽シーンにも根づきつつあります。ソロアーティスト中心のVpopの中で、こうしたグループ文化がどう育っていくのかも注目のポイントです。

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よくある質問

Q. Vpopの歌詞は難しくないですか?
ラブソングは比較的シンプルな単語が繰り返されることが多く、初心者でも取り組みやすいジャンルです。

Q. どこでVpopを聴けますか?
YouTubeや主要な音楽ストリーミングサービスで手軽に聴くことができます。

Q. Vpopと韓国のK-POP、どちらから始めるべきですか?
どちらが優れているというものではなく、好きになったアーティストがいる方から始めるのが一番続けやすい選び方です。両方に興味があれば、並行して楽しむのも自由です。

Q. Hoàng Thùy Linhの曲はどんな特徴がありますか?
ベトナムの民謡や伝統的な物語のモチーフを現代的なサウンドに取り入れた楽曲が多く、Sơn Tùng M-TPとはまた違う、ベトナムらしさを前面に出した作風が魅力です。

Q. 「Rap Việt」とはどんな番組ですか?
ラッパーを発掘するオーディション番組で、ベトナムのラップ・ヒップホップシーンを一気に広めるきっかけになった人気番組です。出演者のその後の活躍も含めて追いかけると、ベトナムの音楽シーンがより身近に感じられます。

Q. VpopにもK-POPのようなアイドルグループはありますか?
はい、2010年代前半ごろから韓国式の養成システムを取り入れたグループが登場しています。「365daband」はその代表例として知られています。