韓国では初対面でも年齢を聞かれることがよくあります。失礼なことではなく、実は呼び方や言葉づかいを決めるための大切な確認。「오빠」「형」「언니」「누나」——4つの呼び方の使い分けを見ていきましょう。

年上の呼び方は、話す人の性別で変わる

表現 読み方 意味
오빠 オッパ (女性が)年上の男性を呼ぶ言葉

ここが韓国語のユニークなところ。年上の男性を呼ぶとき、話し手が女性なら「오빠(オッパ)」、話し手が男性なら「형(ヒョン)」と、同じ「お兄さん」でも言葉が変わります。同様に年上の女性は、女性から見れば「언니(オンニ)」、男性から見れば「누나(ヌナ)」と呼び分けられます。

血のつながりがなくても使える

これらの呼び方は実の兄姉に限りません。親しくなった年上の友人や、よく行く店の店員さんにも使われる、距離を縮めるための呼びかけです。名前ではなく関係性で呼び合う文化は、韓国語ならではの温かみを感じさせます。旅先で仲良くなった人にこの呼び方を使ってみると、一気に打ち解けられるかもしれません。

「同期」を意味する言葉もある

年齢文化がここまで発達している韓国語には、同い年の相手を指す「친구(チング)」という言葉もあります。日本語の「友達」に近い意味ですが、韓国語では特に「同い年」というニュアンスが強く込められることがあります。同じ年に生まれた者同士は、初対面でもすぐに「친구しよう(友達になろう)」と打ち解けることも珍しくありません。この年齢意識の強さは、学校の学年制度や兵役制度など、社会のさまざまな場面で「同期・同学年」という括りが重視されてきた歴史とも関係していると言われています。

「数え年」から「満年齢」へ――2023年の変化

韓国には長らく、生まれた年を1歳として数える伝統的な「세는 나이(数え年)」という数え方がありました。日本の満年齢より1〜2歳多く数えるこの方式は日常会話に深く根づいていましたが、2023年6月から法律上の年齢計算が国際基準の「満年齢」に統一されました。これにより行政手続きなどでは満年齢が基本になりましたが、日常会話ではこれまでの数え方の感覚が残っている場面もあり、年齢確認のやり取りが少し変わってきている過渡期だと言われています。

年齢を聞かれても、驚かないで

「나이가 어떻게 되세요?(ナイガ オットケ トゥェセヨ=おいくつですか?)」と聞かれたら、素直に答えて問題ありません。数字が伝わりにくければ、指で示したりスマホに打ち込んで見せるのも自然な方法です。

アジコトのレッスンでは、こうした呼びかけや自己紹介の場面のフレーズも紹介しています。

会社の中でも、年齢と序列が意識される

この年齢文化は職場にも色濃く表れます。入社年次が同じ「同期(동기・トンギ)」は特別な連帯感を持つ関係とされ、年齢が下でも入社が早ければ先輩として敬われることもあるなど、単純な生年月日だけでなく所属年数も絡み合った独特の序列が存在します。旅行者が直接体験する機会は少ないものの、韓国のドラマやバラエティ番組でこうした先輩・後輩関係の描写を目にしたときに、この記事の呼び方の知識があると、人間関係の機微がより深く理解できるようになります。

兵役という、もうひとつの「同期」文化

韓国の成人男性には兵役の義務があり、多くの若者が18歳前後で軍隊に入ります。この兵役経験も、韓国社会の年齢・序列文化を語るうえで欠かせない要素です。同じ時期に入隊し、同じ部隊で過ごした「군대 동기(グンデ トンギ=軍隊の同期)」は、学校の同期とはまた違う独特の連帯感で結ばれるとされ、除隊後も長く続く人間関係になることが少なくありません。入隊時期がわずかでも早い「선임(ソニム=先任)」には、実年齢が下でも敬意を払う慣習があり、これも韓国社会で「年齢だけでなく所属した順序」が人間関係の序列に影響する一例です。旅行者が直接目にする場面は少ないものの、韓国ドラマや映画に兵役をテーマにした作品が多いのは、この経験が多くの韓国人男性にとって人格形成期の大きな出来事だからだと言われています。

「数え年」の計算方法を具体的に知っておく

「数え年」がどれくらい実年齢とずれるのか、具体的な計算方法を知っておくと戸惑いが減ります。基本の計算式は「생일이 지났으면 만 나이+1、생일이 안 지났으면 만 나이+2(誕生日を過ぎていれば満年齢+1歳、まだなら満年齢+2歳)」というもの。生まれた瞬間を1歳とし、実際の誕生日ではなく元日を迎えるたびに一斉に歳をとる、という考え方に基づいています。たとえば12月生まれの人は、生後わずか数日で数え年2歳になってしまうことも。2023年6月28日から満年齢が法律上の基本となった今も、この数え方の感覚は日常会話や年齢を尋ねる場面に色濃く残っています。

外国人旅行者は、どう答えるのが無難?

年齢を聞かれて数え方に迷ったら、素直に「生まれ年」を伝えるのがいちばん実用的な方法です。「95年生まれです」のように西暦の生まれ年を伝えれば、相手が数え年・満年齢どちらの感覚で聞いていても、自分で計算して理解してくれます。無理に数え年を計算して答えようとせず、パスポートに記載されている生年月日をそのまま伝える感覚で十分です。行政手続きやフォーマルな場面では満年齢が基準になるため、そちらを聞かれた場合はパスポート通りの年齢を答えれば問題ありません。

食事の席にも表れる序列――「上座」の考え方

韓国の会食では、席順にも年齢・序列の意識が表れます。入口から一番遠く、部屋全体を見渡せる奥の席が「上座」とされ、その場でもっとも目上の人やお客様が座るのが基本的なマナー。逆に入口に近い席は目下の人や幹事役が座り、注文や配膳など細やかな気配りを担うことが多いとされています。旅行者が現地の会食に招かれる機会は多くありませんが、レストランで案内された席に迷わず座るくらいの心構えで十分です。この「上座・下座」の感覚は、乾杯やお酌の作法と同じ根っこから生まれた、韓国の人間関係の縮図ともいえます。

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4言語の呼び方比較は家族の呼び方が4言語でまったく違う理由、敬語の仕組みは敬語とタメ口、4言語での使い分けを比較するもあわせてご覧ください。

参考

本記事で触れた制度に関する情報です。

  • 韓国の年齢計算に関する法改正 ― 2023年6月28日から、行政上の年齢計算が国際基準の「満年齢」に統一された(いわゆる「満年齢統一法」)。

よくある質問

Q. 年上かどうか分からないときはどうすればいいですか?
素直に年齢を尋ねて構いません。韓国では自然なやり取りとして受け止められます。

Q. これらの呼び方を間違えると失礼になりますか?
使い分けを間違えても、外国人旅行者であれば大きな問題にはなりません。むしろ使おうとする姿勢自体が好意的に受け止められます。

Q. 同い年だと分かったら、どう接すればいいですか?
「친구하자(チングハジャ=友達になろう)」と声をかけると、一気に距離が縮まります。同い年同士はタメ口で話すことも多く、対等な関係として親しくなりやすい傾向があります。

Q. 「数え年」は今でも使われていますか?
2023年の法改正で行政上は満年齢に統一されましたが、日常会話では長年の習慣として数え年の感覚が話題に上ることもあります。年齢を聞かれて答えが1〜2歳ずれていても、気にしすぎる必要はありません。

Q. 数え年の計算式を教えてください。
誕生日を過ぎていれば満年齢+1歳、まだなら満年齢+2歳が目安です。元日を迎えるたびに一斉に歳をとるという考え方に基づいています。

Q. 年齢を聞かれたとき、どう答えるのが一番簡単ですか?
「95年生まれです」のように西暦の生まれ年を伝えるのが実用的です。相手が状況に応じて数え年・満年齢を判断してくれます。