市場や屋台での買い物に欠かせない「いくらですか」。この一言さえ言えれば、値段を指差しで確認するだけの旅から一歩進めます。韓国語・ベトナム語・タイ語・インドネシア語、4言語の言い方を比較しながら、それぞれの国の通貨事情や値段交渉の作法まで詳しく見ていきましょう。

4言語で比較

言語 表現 読み方 ポイント
韓国語 이거 얼마예요? イゴ オルマエヨ 얼마(オルマ)=いくら【中央】
ベトナム語 Cái này bao nhiêu tiền ạ? カイ ナイ バオ ニェウ ティエン ア bao nhiêu(バオニェウ)=いくつ・いくら【中央】
タイ語 อันนี้เท่าไหร่คะ アンニー タオライ カ เท่าไหร่(タオライ)=いくら【中央】
インドネシア語 Berapa harga ini? ブラパ ハルガ イニ Berapa(ブラパ)=いくら【文頭】

気づき:「いくら」の位置はインドネシア語だけ特別

「いくら」にあたる語(เท่าไหร่/얼마/bao nhiêu/Berapa)は、インドネシア語だけが文頭に置かれ、残る3言語は文の中ほどに置かれます。韓国語・タイ語・ベトナム語は「これ」を先に示してから「いくら」と尋ねる組み立てで、日本語の語順感覚に近い並びです。「これは、いくらですか」という日本語の並びをそのままイメージすると、3言語は覚えやすく感じられるはずです。

韓国語「이거 얼마예요?」:2種類の数字を使い分ける国

「이거(これ)+얼마(いくら)+예요(ですか)」という組み立てです。「이거」を指差しながら使えば、商品名を知らなくても値段を尋ねられます。韓国語には数を数える「固有数詞」と、日付や電話番号に使う「漢数詞」の2種類があり、値段の聞き取りは上級者でも難しいとされています。市場のおばちゃんは慣れたもので、聞き取れなさそうな旅行者にはさっと電卓を見せてくれることも多く、スマホの電卓を差し出して「書いてください」とお願いするのも立派なコミュニケーションの一つです。

ベトナム語「Cái này bao nhiêu tiền ạ?」:ゼロの数に慌てない

「Cái này(これ)+bao nhiêu(どれくらい)+tiền(お金)+ạ(ていねいに)」という組み立てです。ベトナムの通貨ドンは、1万・10万単位が当たり前というゼロの多さで知られています。「50」と言われたら5万ドンのことも珍しくありません。現地の人は紙幣の色で金額を覚えるのがコツで、青系の色合いの50万ドン札と2万ドン札は色味が似ているため、旅行者は特に注意が必要とされています。慣れないうちは、紙幣を一枚ずつ確認しながら支払うくらいの慎重さがちょうどよいでしょう。

タイ語「อันนี้เท่าไหร่คะ」:値切りは笑顔でやわらかく

「อันนี้(これ)+เท่าไหร่(いくら)+คะ(ていねいに)」という組み立てです。「อันนี้(アンニー)」は「これ」を意味する指示語で、指差しながら言えば単語を知らない商品でも値段が聞けます。屋台や市場では、軽い値切り交渉も当たり前の光景。「ลดหน่อยได้ไหมคะ(ロット ノイ ダイマイ カ=少し安くしてもらえますか)」を笑顔で添えるのがコツです。ただしデパートやコンビニなど値札のあるお店では値切りをしないのがマナーなので、場所を見極めることが大切です。

インドネシア語「Berapa harga ini?」:「リブ(千)」で数える通貨感覚

「Berapa(いくら)+harga(値段)+ini(これ)」という組み立てです。インドネシアの通貨ルピアもドン同様にゼロが多く、現地の人は「10 ribu(スプル・リブ=1万)」のように「ribu(千)」単位で会話することがよくあります。「15」と言われたら1万5千ルピアのこと、というように、慣れてしまえば単純な仕組みです。「Berapa」は「いくら・いくつ」を意味する疑問詞で、値段だけでなく数量を尋ねるときにも幅広く使える便利な単語です。

数字が聞き取れないときの対処法

数字の聞き取りに自信がなければ、電卓アプリの画面を見せてもらうのも旅の定番テクニックです。特にタイ語・ベトナム語のように声調のある言語では、大きな数字を耳だけで正確に聞き取るのは現地在住者でも難しい場面があります。指で数字を示してもらう、紙に書いてもらうなど、言葉以外の手段も遠慮なく使いましょう。値段を聞いたあと、電卓の画面に自分の希望額を打ち込んで見せるというやり方も、値切り交渉の場面では実践的です。

値段交渉が前提の市場、定価が基本のお店

市場や屋台では値段交渉が前提の場所も多く、最初に提示される金額がそのまま通ることは少なくありません。一方でショッピングモールやコンビニのような定価表示の店では、値切り交渉はしないのがマナーです。「いくらですか」と尋ねたあとの相手の反応(笑顔で応じるか、きっぱり定価を伝えるか)で、その場が交渉可能かどうかを見極めるのも旅の勘どころです。

買い物のリズムを4カ国で比べてみる

「これ、いくらですか」から始まるやり取りの続き方は、国によって少しずつ色合いが違います。韓国では市場のおばちゃんが数字を電卓で見せてくれる、テンポの良いやり取りが定番です。ベトナムではゼロの多い紙幣を数えながら、店員と一緒に確認し合う場面がよく見られます。タイでは値段を聞いたあと、笑顔で軽い値切り交渉に発展することも珍しくありません。インドネシアでは「リブ(千)」単位の会話が飛び交い、慣れるまでは頭の中で桁を数え直す時間が必要になることもあります。同じ「値段を聞く」という行為でも、そのあとに続く会話のテンポや文化がまったく違うのが、旅の面白さのひとつです。

会計時の「レシートをください」も同じ型で

言語 表現 読み方 ポイント
韓国語 영수증 주세요 ヨンスジュン ジュセヨ 주세요(ジュセヨ)=ください【文末】
ベトナム語 Cho tôi hóa đơn ạ チョー トイ ホア ドン ア Cho tôi(チョートイ)=私にください【文頭】
タイ語 ขอใบเสร็จค่ะ コー バイセット カ ขอ(コー)=ください【文頭】
インドネシア語 Saya mau struk サヤ マウ ストゥルッ Saya mau(サヤマウ)=私は〜がほしい【文頭】

値段を確認して買い物が決まったら、最後に交わすのがこの一言です。韓国語だけ文末、他の3言語は文頭という「ください」の並びは、値段交渉の場面でもそのまま生きています。経費精算や記念に、レシートをもらっておくと安心です。

「いくらですか」のあとに待っている、キャッシュレス決済という選択肢

「いくらですか」と尋ねたあと、実際にどう支払うかも国によって様子が違います。タイでは「PromptPay(プロンプトペイ)」、インドネシアでは「QRIS(キューリス)」、ベトナムでは「VietQR(ベトキューアール)」という自国のQRコード決済が生活のすみずみまで浸透しており、屋台の店主がスマホの画面にQRコードを表示して支払いを受け取る光景も珍しくありません。韓国はもともとカード払いの文化が強く、小さな屋台や個人商店でもカードが使えることがほとんどです。とはいえ、これらのQRコード決済は基本的に現地の銀行口座と結びついた仕組みのため、短期旅行者がそのまま使えるとは限りません。市場や屋台では「いくらですか」と尋ねたあとも、現金を主役に、カードやQRコードは補助的な手段くらいに考えておくのが、今のところ一番混乱の少ない備え方です。

関連フレーズ

値段のやり取りが始まったら、「まけてください」4言語比較で値引き交渉の言い方も確認しておくと安心です。数字の読み方は数字の数え方、4言語でこんなに違うで詳しく紹介しています。

よくある質問

Q. 数字が全く聞き取れません。どうすればいいですか?
電卓やスマホの画面に数字を打ち込んで見せてもらうのが確実です。多くの屋台や市場では、この方法が広く使われています。

Q. 値札がある場合でも聞く必要はありますか?
値札のある店なら聞く必要はありませんが、屋台や市場では値札がないことも多いので、この一言を知っておくと安心です。

Q. ぼったくられていないか不安です。どう確認すればいいですか?
事前にガイドブックやSNSでおおよその相場を調べておくと安心です。明らかに相場より高い場合は、笑顔で「高いですね」と伝えるだけでも、値段を見直してもらえることがあります。

Q. ベトナムやインドネシアのゼロの多さに慣れるコツはありますか?
「千」「万」の単位で区切って考える練習をしておくと、現地でも数字の桁に惑わされにくくなります。紙幣の色や大きさで覚えるのも実践的な方法です。

Q. 市場や屋台でもレシートはもらえますか?
屋台では発行されないことも多いですが、市場の店舗やお店では「영수증 주세요」のような一言で渡してもらえることがほとんどです。経費精算や記念に残しておきたいときは、会計時にひとこと添えてみましょう。

Q. PromptPayやQRISは日本の旅行者でも使えますか?
基本的には現地の銀行口座に紐づく仕組みのため、短期旅行者がそのまま使うのは難しい場合が多いです。屋台や市場では現金を基本に、カード払いができる場所では補助的に使う、という考え方で備えておくと安心です。